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左背部の肉離れ

症例報告① 

左背部の筋・筋膜の疼痛

 

 

硬式野球のバッティングの練習中に、

ボールをミートした瞬間に

左の背部に痛みを誘発。

 

 

メインは大菱形筋に、

それ以外は脊柱起立筋、

小菱形筋、肩甲下筋、多裂筋に刺鍼。

 

 

2回の鍼でほぼ完治に至る。

 

 

【症例】

16歳 男性(学生)右投げ左打ち

 

 

【初診】

平成30年5月27日 

 

 

【主訴】

左背部の疼痛

 

 

【現病歴】

硬式野球のバッティング練習中に、

ボールをミートした瞬間に

左の背部に痛みを誘発。

 

激痛が走ったために、

すぐに鍼灸整骨院に通い、

鍼と手技療法を試みたが、

1週間ほど経っても痛みが

緩和されず当院に来院された。

 

バッティングのミート時に

背部に急激な負荷がかかったため、

左の背中を痛めた模様。

 

指圧すると痛みは顕著で、

疼痛箇所を押すと筋肉の窪みができている。

 

バッティング練習を含めた

全体の練習をしばらく休んでおり、

一刻も早く復帰して練習を

再開したいとのことで来院を希望。

 

 

【身体所見】

左背部の肩甲間部(第4頚椎~第5頚椎)

の肩甲骨内縁を指圧すると著明な痛みを訴える。

 

肩甲骨を外転させる動きをすると痛みを自覚する。

 

疼痛箇所を押すと筋肉の窪みがあり、

他の部位とは明らかに虚した感触があり、

若干ではあるが熱感もあり。

 

 

【診断】

一定の動作や指圧によって

痛みを誘発することから、

筋・筋膜性の疼痛と考察。

 

疼痛箇所を触診すると、

筋肉の窪みを感知できるので、

おそらく左の大菱形筋の筋繊維の

部分断裂ではないかと判断した。

 

 

【対応】

疼痛箇所が明らかなので、

大菱形筋の疼痛部位をを中心に刺鍼する。

 

それ以外にも肩甲骨の動きが

制限されていたので、

脊柱起立筋、小菱形筋、肩甲下筋、

多裂筋に刺鍼していく。

 

5番鍼(2寸、寸6)をそれぞれの

筋肉に刺鍼して20分程置鍼。

 

抜鍼後、肩甲骨を外転、

回旋してもらうとまだ痛みが残っていたので

運動鍼で局所の痛みを除去していった。

 

 

 

 

【経過】

1回目の施術から3日後に再来院。

10段階の痛みのレベルで、

前回の施術前を「10」だとすると、

2回目に来院されたときは「3」まで回復。

 

前回の鍼で痛みが顕著に取れたので、

また施術を希望して来院された。

 

2回めも同じように刺鍼から置鍼を行い、

最後に大菱形筋を狙い運動鍼をおこなった。

 

施術後は痛みが1割程に軽減した。

 

おそらく、これで痛みはほぼ取れる

であろうとのことで、施術を終了。

 

以後、痛みがもし残るようで

あればまた連絡くださいと伝える。

 

それから来院はされていないので、

確認はしていないがおそらく

野球の練習に復帰したのだと思われる。

 

 

【考察】

ぎっくり背中という言葉があるようだが、

筋肉の部分断裂という点においては

同義であると言える。

 

急性疼痛は鍼の得意分野としているので、

今回の症例は特に効果をあげることができた。

 

筋・筋膜性の疼痛の場合はそれほど

完治までに時間を要しない場合が多いが、

 

その原因は身体の使いから

来ている場合が多いように思う。

 

今回のクライアントは、

腰痛の自覚もあった。

 

骨盤がニュートラルな位置から

明らかに前に傾いていた。

 

腰椎と胸椎は連動しているので、

腰椎前傾からくる胸椎周辺の

筋肉群に対する筋緊張が、

 

今回の急性症状に繋がった

のではないかと考察した。

 

なんにせよ、今回の来院の目的は、

痛みの改善であったために

その目標は達成できたので良しとした。