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左前腕の腱鞘炎

症例報告③

左前腕の腱鞘炎

 

趣味でボルタリングをやっており、

ある時からホールドを持つ際に

薬指から中指にかけて

痛みが誘発されるようになった。

 

 

【症例】

30代前半 男性

 

【初診】

平成28年10月1日 

 

【主訴】

左前腕の腱鞘炎

 

【現病歴】

左前腕~手にかけての筋緊張が強く、

特に第三指(中指)、第四指(薬指)に

腫脹がみられた。

 

鍼は初めてだったかが、

ボルタリングは続けたいので

なんとか治す方法はないかと来院された。

 

 

【身体所見】

手を握る動作で痛みが出ており、

前腕屈筋群に特に強い筋緊張がみられる。

 

第三指(中指)、第四指(薬指)に

熱感、腫脹がみられる。

 

手の指を屈曲から伸展した

際に痛みが誘発される。

 

 

【診断】

手の掌側の第三指(中指)、第四指(薬指)に

腫脹が診られたので、

浅指屈筋、深指屈筋の過緊張からの

腱と腱鞘の炎症と推察。

 

PIP、MP関節辺りに

疼痛制限がある。

前腕屈筋群に強い筋緊張がみられる。

 

 

【対応】

浅指屈筋、深指屈筋を中心に、

屈筋群と伸筋群の緊張を

起こしている筋肉に刺鍼。

 

第三指(中指)、第四指(薬指)の

熱感のある部位にはできるだけ

痛みがでないように局所を刺鍼。

 

肘の辺りの可動域制限と

筋緊張がもみられたので

ついでに腕撓骨筋辺りの筋肉群にも

刺鍼してしばらく置鍼を行った。

 

 

【経過】

1回目の施術を終えてから一週間後に来院。

腕の痛みはほぼ良くなったが、

左の第四指(薬指)だけは

やや違和感が残るとのこと。

 

引き続き、局所と遠位部に

刺鍼を行い経過を見ていただくことに。

 

2回の施術でだいぶ良くなったようで、

しばらくしてからボルタリングを

再開できたとその半年後くらいにご報告を頂けた。

 

 

【考察】

ボルタリングで使う主な筋肉は、

浅(深)指屈筋、上腕二頭筋、

虫様筋(親指以外の指を閉じたり開いたりする)、

母指対立筋を始めとした腕の筋肉から、

 

体幹の広背筋や脊柱起立筋から

足の大腿四頭筋から

ハムストリングスまで多様する。

 

上達してくると、足の筋肉を

うまくつかって腕の筋肉に頼らずとも

登ることができるようになるようだ。

 

今回は同じ筋肉の酷使が原因で

痛めた筋肉であったため、

ボルタリングを休みながら

鍼をしてしばらく安静にできる環境で

あったため治りも早かったように思う。

 

これが、部活動とかになってくると、

完治していないのに運動をはじめてしまい

再発することもしばしばである。

 

再開するのは良いとして、

なぜ、その結果になったのかを考えて

対策ができてから運動を再開するのでも

遅くはないように個人的には思う。